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2009年5月24日日曜日

バナナの叩き売り

昔、バナナの叩き売りと言う縁日商売があった。
 先日、公園のイベント後の事務処理の席で、バナナペーパー紙すきと合わせて、バナナの叩き売りをすると盛り上がるかもしれない等と、戯れ言をいった。ご担当の方笑い乍らペースを合わせてくれたが、今頃になって、些かそれを気にしている。
 絶えて久しいあの口上、最近の方々には見聞きする機会も無かっただろうにと。
 路面電車の矢場町の停留所は完成前の若宮大通りの道路用地が大きな広場になっていた。
 蝦蟇の油売り等と並んでバナナの叩き売りをよく見掛けた。戸板位の台に、一房ずつバナナを載っけて、手にする紙製の板でバンバンとリズムを付け乍ら『5百円、4百円、380円、買うのは居ないか、エーイ350円』といった具合で競り売りをする。値段は高くなるのではなくどんどん下がるのである。よしと思った瞬間、タッチの差で誰かに買われてしまう。この駆け引き、間合いが実に面白い。或るとき。「買った」と見事落札した、のだが、親父さんバナナを手に持ったまま渡してくれない「兄ちゃん、今のは呼吸が違う、やり直し」と始めから再び、バンバンとそして売ったと。先に決めた値段よりもう一段安くなって手渡された。露天商売というより、呼吸を重んじる大道芸人であった。”バナナの叩き売り”大正時代に始まったらしいが、その発祥の地、門司では保存会があるそうだ。

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